美味しんぼ 2
外の寒さに合わせてコートやマフラーをすると電車の暑さに完敗するという、田舎から出てきて10年以上経過しててもちょうど良いところがいまだに見つけられないけどあきらめたらそこで試合終了だよという安西先生の言葉を胸に電車に乗ろうと思うぼくですおはようございます。
今日も美味しんぼという漫画を紹介します。
舞台は東西新聞社。
新入社員の栗田さんと、グータラ社員の山岡さんというコンビで社運をかけた一大プロジェクト「究極のメニュー」作りに挑みます。
もうツッコまない!ツッコまないぞ!
ここはサラッといくぞ!
究極のメニュー作りに向けた第一歩として、食通として有名な方々を集めて討論する場が設けられる。
評論家:それじゃ、タイからツバメの巣を持ってこなくては。
芸能評論家:私はフランスから美食の王「フォアグラ」を取り寄せましょう。フォアグラはガチョウに茹でたトウモロコシを大量に与えて運動させず、その異様に肥大した肝臓で作るのですよ。
どうです山岡さん。究極のメニューには欠かせませんでしょう?
フォアグラの説明が一切美味しそうに聞こえないのになにがどうですだ、とかは置いといて、さすがは原作「雁屋哲」である。
ここまでステレオタイプな食通キャラを作るとは。
評論家を出しておきながら芸能評論家を放り込んでくるあたり、評論家になにか恨みでもあるに違いない。
どうです?と話をふられた山岡さん。
いきなり噛みついた!
「日本の食通とたてまつられている人間は滑稽だねぇ!」
普段生活しててなかなか滑稽ですねとは言われないぞ。
ただ同意を求められただけなのに!
いいぞ山岡!
「外国人がうまいって言うから、その馬尻に乗ってありがたがっているけど、有名ブランド品をありがたがっているのと同じ、中身じゃなく名前をありがたがっているだけなんじゃないの?」
と、さらに噛みつく。
いいぞ山岡!
「な、なんだと」と、いきなり山岡さんの胸ぐらをつかむ芸能評論家も負けてない。
その手をギリギリと絞りあげ、
「一番うまいと思うフォアグラを用意しな。それよりはるかに美味いものを味わわせてやる!」
嗚呼!
カッコいい!
フォアグラよりはるかに美味いものですって奥さま!!
これが美味しんぼの初期の頃の王道ストーリーです。
ホンワカした空気の中、突然山岡が荒ぶる
↓
言われた側も荒ぶる
↓
山岡がさらに荒ぶって料理対決でギャフンと言わす
↓
健康診断では高血圧に注意!
言われた側も荒ぶるのがいいね。
気づいてます?
これ、なにが美味しい食材かな?って話です。
胸ぐらをつかみ、その手をギリギリ絞りあげられるって!
いいぞみんな!
今の日本に必要なのはその熱さだきっと!
ぼくも美味しいもの紹介して食い違ったら胸ぐらつかむよ!!
こうしてフォアグラよりはるかに美味い食材を用意するため山岡さんは茨城の海へ。
ガチョウ対決ではなさそうですガチョウファンの皆さまスミマセン。
どうやら狙いはアンコウの肝、アンキモのよう。
キモ対決でした。いやアンガールズの話じゃありません。
「いやぁ参ったよ、獲れやしねぇ。」
「冬の魚だ、ありゃあ、今は5月じゃもん」
と泣き言をいう漁師に対し、船上で腕組みして待っていた山岡さんは
「泣き言いわんで獲れるまでやるんだ!文句ばっかり言ってると海の中たたっ込むぞ!!」
と、5月に冬の魚を獲れと言って殺人予告までするという、父、海原雄山を彷彿とさせる言葉を放つ。
血すじを侮ってはいけませんよと言いたかったんですよね、雁屋先生?
いよいよ対決の日。
アンキモをドヤ顔で出した山岡さんは言う。
「深海の自然の中で育った健康そのもののアンコウの肝臓と、人間のこざかしい悪知恵で作り出した病的な肝臓と、果たしてどちらが美味いか?しかもこのアンキモは獲れたてをその場で調理した。フランスから空輸のフォアグラとでは鮮度も天と地ほどの差もある!」
嗚呼。
このセリフまわし。
こざかしい悪知恵、病的な肝臓、最高です。
味に直接関わるのは後半の鮮度じゃね?とか、野暮なツッコミはいらないのですよ。
人間のこざかしい悪知恵が元凶です!
こうしてステレオタイプな食通たちをギャフンと言わせた山岡。
スッキリして帰ってゆくのです。(あれ?究極のメニューは?)
話はそれますが、この回は思春期のぼくに強烈なインパクトを与えました。
読み終わった後にぼくの中で
"アンキモはフォアグラよりはるかに美味いらしい"
という観念がインプットされるという。
はるかにだよ!
だって山岡さんが言ってんだぜ!?
ぼくの厨二病の結構な部分を担ったのではないかと思う。
そんなわけでフォアグラよりはるかに美味いアンキモを食べに連れてってくれるエロい雰囲気の女性、絶賛募集中です←
22/1825